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2016年9月2日金曜日

電子書籍の表紙を作った06 自分のデザインを評価してもらう

※最初から読みたい方は:電子書籍の表紙からどうぞ

前回で電子書籍の表紙が完成しました。無事にamazonで販売されはじめ、IT部門の2位まで一気に上がっているのを見たときは爽快でした。自分の作った表紙がAmazonランキングに登場するとは、今まで想像したこともなかったので純粋に嬉しかったです。



無事、お仕事かんりょう!と言いたいところですが、仕上げた表紙デザインに関してどうもすっきりしないのです。もう一度、表紙を見みてみます。



けっして、悪くはない。限られた時間の中で、できることをやったつもりです。でも、何か違うのです。何か足らない気がするのです。悪い意味で素人くささが抜けてないというか、もう少し良いものになる可能性があるのに、そのパーツがわからない。

そこで、本職のデザイナーさんにアドバイスをもらえないかと考えはじめました。とはいっても、気軽に頼める知り合いもいないし、面識のない人にいきなり聞くのも気が引けます。そういえば、お茶をおごってもらうぐらいの感じで引き受けたんだけど、著者のa-kiが気遣ってくれてデザイン料をくれたんだっけ…有料アドバイスを探してみよう!ということで、普段よく利用しているココナラを覗いてみることにしました。

ココナラは個人間で得意なことをサービスにして売買するサイトです。さすがに、都合よく本職の人は見つからないかなと、それほど期待せずに探しだしたのですが・・・

いたっ!

Ramune Design
現役デザイナーが行き詰った時のお悩み・添削相談します


なんとなくですが、直観でこの人は本職の人だと感じました。サービス説明の画像がカーニング(文字間隔詰め)であること、文章にゆとりがあること、サービス提供者名に遊びがあること、髭に眼鏡であること、どれをとってもプロフェッショナルなデザイナーさんの雰囲気です。

さっそく、見つけたその場で依頼をしてアドバイスを仰ぎます。無理を言って、過去にデザインした作品を見せてもらえないかお願いしたところ、以前作られた本の表紙を見せていただきました。

※ココナラではほとんどの方が匿名で取引されています。

ここで、紹介できないのが残念ですが、美しく合理的な表紙デザインであるのは、素人の私が見てもわかりました。

さっそくRamune Design さんに頂いたアドバイスを見ていきます。
※転載許可いただきました。ありがとうございますっ、ヒゲメガネさん。
1.ビジュアルの扱い
内容に直結しない人物シルエットを使った雰囲気のビジュアルが割と大きいです。
内容を直感的に伝えるビジュアルであれば大きくてもいいのですが、何となく寂しさを紛らわすために入れたビジュアルは基本文字より目立たせません。グラデーションもいたずらに可読性を落とすだけであれば入れない方が良いです。 
2.上部キャッチ
「10年先も〜」のキャッチの10の「0」が線と塗りで表現されていますが、1のセリフ体と合っておらず、そのため「10」が「年先も生き残る〜」というキャッチと分離して見えます。
私は初見で読めませんでした。ご存知かもしれませんが、フォントで作られているゼロはゴシック体であっても縦と横のラインの太さは視差を計算して作られているため太さが違います。今回の場合は通常のフォントを使った方が無難です。 
3.罫線
表紙ではぱっと見で一つのワンビジュアルに見えることが重要です。そのためレイアウトを分けるための罫線はあまり使わない方が無難です。 
4.タイトル文字の大きさと文字詰め
タイトル文字の大きさと文字詰めが中途半端に感じました。特に今回のような呼びかけ、牽引力を求められる場合は文字詰めはきつめの方が勢いを感じます。 
5.読めるのはタイトルだけで良い
アマゾンのサムネで全ての文字を読ませようとするのは不可能であるばかりか、タイトル文字すら目に飛び込んでこないとストレスを感じます。読ませるのはタイトルだけのつもりで良いと思います。

このアドバイスはお願いしてから1日で返ってきたものですが、最初に読んだときに驚きました。というのも、指摘してもらった部分全てが最後まで迷っていたことだったからです。

アドバイス全体から読み取れるのは、最後の調整の段階で目立たせるべきものを忘れて、雰囲気でごまかそうとしていたことでした。目的を明確にして、それを実現するために作る行為がデザインだと前回の記事で書きました。ところが、知識レベルではわかっていても、実際にやってみると出来てなかったわけです。

アドバイスをいただいた際に修正図案もいただきました。もう一度、自分の作ったものと照らし合わせつつ、改善したのが↓です。文字の配置や大きさ、文字間隔を変えただけですが、印象がかなり変わりました。ちゃんとタイトルが目立ち、全体が引き締まって見えます。見た目と機能性が同時に上がりました。



↓比較用:古い表紙




この後、改良した表紙の印象があまりにも良かったので、著者のa-kiさんにお願いして表紙を入れ替えていただきました。今、Amazonで表示されているのは改善版の表紙です。

気楽に受けた電子書籍の表紙でしたが、蓋を開けてみたら自分のデザイン力の問題点を見直す良い機会になりました。私がデザインをするのは、主に個人で作るWEBサイトです。基本はひとりでつくりますので、ビジュアル的なデザインには時間をかけません(相対的に優先順位が低いので)。ですから、楽しい部分ではありますが、やりだすと時間をとってしまうので敬遠してきたのですよね。

ところが、今回、こういった形でデザインに向き合うことになって、久しぶりに楽しくて苦しい時間をすごくことができました。たしか、学生のころ、こういうことを仕事にしたいと考えていんだっけ。今後も、仕事としてデザインだけを請け負うことはないかもしれませんが、やってみたいことがでてきたら迷わずデザインにも時間をかけて楽しもうと思います。

以上、電子書籍の表紙をつくった話でした。最後になりましたが、著者のa-kiさんには実績もないのにお仕事言う形で声をかけていただいたこと、時間を割いて諸々意見交換していただことなど感謝申し上げます。また、本書を読んで後書きで書かれているように、WEBサイトを通してミームを運ぶ人が増えることを願います。



>通して読む方はこちらから:電子書籍の表紙





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